素材について
ウール / wool
ウール、羊毛は一般的に、限定された季節の素材として扱われることが多い天然繊維です。
一方で毛織の分野では「10 months (テンマンス)」と呼ばれ、一年の大半で着用できる素材として扱われてきました。
極地探検や登山においても、衣服の中核は長くウールであり、その優れた機能性が改めて認識されてきています。
ウール本来の性質は、吸湿と放湿を環境に応じて切り替え、蒸れにくく、冷えにくいという特性を持っています。
防臭性、耐久性にも優れ、肌に近い位置でも快適に呼吸する素材です。
TARCHIでは、唯一の特性と機能の重なりを持つ羊毛を、いかに“通年で着用できる”ものに仕上げられるか、
試作と実使用による検証を重ね、生地の組成と設計を探りました。
TARCHI のウールアイテムは、
ウールキャバリーツイル、
ウールデニム(非インディゴ)、
ウールデニム(インディゴ)、
ウールリネン、
ウール天竺、
いずれも、季節や環境を跨ぎ、長く使い続けられるように作られています。
ウール素材詳細
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ウールキャバリーツイル
軍装や乗馬服をルーツに持つ高密度織物。
引き裂きや摩耗に強くありながら、軽い生地感。
本来相反するものを、最良の均衡で織っています。
通年して安定した着用感を持ちます。
素材中に1 %の炭素繊維を混ぜ、ウールの問題の一つである静電気の発生を抑制。
TARCHI を象徴する布帛(織) 素材のひとつです。
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ウールデニム(非インディゴ)
デニムの原点にあるウールサージへ立ち返り、
現代の仕上げ精度で日常着として再構築した綾織物です。
かつて毛織として成立していた“デニムの文脈” が、運用の容易さからコットンへ定着していった歴史を踏まえ、TARCHI ではいま一度、素材をウールへ戻す選択を取りました。
耐久性が高く、日常では臭いが残りにくい特性もあり、着用を重ねるほど身体に馴染んでいく、通年使用も見据えた生地です。経年による表情の変化も楽しめます。
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ウールデニム(インディゴ)
経糸と緯糸に色差のある、ウールによるインディゴデニム。
デニムの語源である「サージ・ドゥ・ニーム(Serge de Nîmes)」が示す毛織の系譜に立ち返りつつ、現代の仕上げ精度と設計条件で、日常着として成立させる前提で組み直しました。
コットンデニムが扱いやすさで定着していった流れを踏まえたうえで、TARCHI では、ウールが本来持つ臭いが残りにくい特性・調温性・耐久性を“デニムの表情” に加え、通年して使い続けられる生地として再構築しています。
デニムらしい見た目でありながら、装飾性や色落ちを目的とせず、着用を重ねることで身体に馴染み、使われ続けることで道具として完成していく綾織物です。
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ウールリネン
羊毛の保温性と耐久性、麻の通気性・速乾性を併せ持つ織物。
温度と湿度の変化にしなやかに順応し、通年して肌離れのよさと体温の保持を両立します。
リネン特有の“節(ふし)” が表情として現れることがあり、特に白系では目立つ場合があります。
それは天然素材が持つ個体差であり、同じ一着が二つとない奥行きとして残ります。
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ウール天竺
他のTARCHI のウール布帛、織物とは違い、編み(天竺) による柔軟性と伸縮性、
高密度による形状安定性を併せ持つベース素材。
TARCHI のアイテム中「最も肌に近い一枚」を担います。
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レザー / leather
鹿革は、数百年単位の長い年月を経ても原型を保つ、
耐候性に優れた天然素材です。
日本では古くから、衣類や武具、生活用品に用いられ、
長い時間の中で使われ続けてきました。
繊維が非常に細かく、しなやかでありながら、
皮革の中では軽さと強度のバランスに優れ、
内部に空気と水分を蓄え、状況に応じて放出する構造を持っています。
蒸れにくく、温度や湿度の変化にも対応します。
摩耗に対しても強く、火にも比較的耐性を持つなど、
環境に対する複合的な強さを備えています。
水に濡れても硬化しにくく、乾燥後も柔らかさを保ちやすいという、
他の皮革とは異なる復元性を持っています。
使用を重ねる中でも質感が大きく崩れず、
身体の動きに沿って馴染んでいきます。
TARCHI では、銀面を起毛させたバフ掛けの鹿革を基準に、
アイテムや部位の目的に応じて、銀面をそのまま残した仕上げも部分的に使用しています。
表情や触感の差を活かしながら、
補強や当たりの出方、色の変化までを含め設計しています。
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シンセティクス / synthetics
TARCHI が採用する xpore(エクスポア) は、ポリウレタンを含まない防水透湿素材です。
(TARCHI では、その中でも耐久性を優先した規格として xpore ultra を採用しています。)
一般的な防水透湿素材は、ナイロンなどの表地に、ポリウレタン系のコーティングや膜、接着層を組み合わせて防水性を成立させる場合が多く、使用環境や時間経過によって、べたつきや剥離などの極端な性能劣化が起こることがあります。
多くの素材は、製造時に最も高い性能を発揮するよう設計されていますが、
TARCHIでは、そうした初期性能よりも、使用を重ねた後の状態と機能から設計しています。
xpore もこの基準の中で選ばれ、
ポリウレタンを含まない構造であることから(裏地に使用する止水テープを除く)、防水透湿層(製品の大部分を占める xpore ラミネート生地)そのものが、加水分解に由来するべたつきや剥離といった変質を起こしにくい素材です。
TARCHIの xpore アイテムは、軽さだけを追わず、野外活動においても長く使い続けられることを前提に設計しています。
また、それぞれの使用想定に応じて、EN 14360 に基づく人工降雨試験を含む雨風テストをクリアしています。
EN 14360 は、欧州標準化委員会(CEN)による、防雨服に対して強い降雨を与え、浸水に対する防護性を評価する試験方法です。
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TARCHIでは、生地自体にポリウレタン等を混合し、加水分解などによって生地構造自体が崩れる素材や構成、あるいはそれらをコーティング・膜・接着層として一体化させることで、ストレッチ性や防水性といった機能を付加する手法は採用していません。
そのため、ウールやリネンといった天然繊維、あるいは炭素を用いた構造など、時間の経過とともに状態が変化しても、機能が断絶しない構造を前提に素材と設計を選択しています。
TARCHIのアイテムは、動きやすさを素材の一時的な伸縮や柔らかさに頼るのではなく、パターン設計と縮率計算を含めた構造によって成立させています。
ポリウレタンなどを含む一部の素材は、湿度や熱といった環境条件の影響を受け、時間の経過とともに劣化が進行することが知られています。
それらがわずかであっても、生地の中に取り除くことのできない形で組み込まれている場合、製品となった時点から、その変化は避けることができません。
このように、機能が構造として不可逆に組み込まれている場合、その変化は部分的に切り離すことができず、アイテム全体の状態に影響を与え続けます。
アイテムの寿命を決定づける構造なのか、部分的に交換可能な要素なのか。
TARCHIでは、その違いを設計上、明確に分けて考えています。
すべての素材は時間とともに変化します。
ただし、その変化は一様ではありません。
変化が愛着へと変わり得るものか、あらかじめ劣化が進行する構造を内包しているものかは、同じものとして扱うべきではないと考えています。
TARCHIでは、時間の経過も含め、長く使い続けられることを前提に素材を選定し、アイテムを設計しています。