11. ウールデニム(インディゴ)の再構築と色落ち検証の記録

ウールデニムという言葉から、一般的にはインディゴで染められたデニムを想像されることが多いと思います。

毛織屋の方と最初に話していた「ウールデニム」は、インディゴ染めのものではなく、綾織構造そのものを指したものです。

この認識から、非インディゴのウールデニムの検討が始まり、学ランや軍服に繋がる構造としての理解へと展開していきました。

一方、開発を進めていく中で、一般的な認識のデニム生地、すなわち経糸と緯糸で色(染色の工程)が異なる、インディゴ染めのウールデニムの可能性についても自然と意識するようになりました。

毛織屋の方に確認したところ、過去には取り組んでいたものの、織機の制約や染色工程との兼ね合いから、現在は行っていないとのことでした。

そこで調べてみると、ウールデニム(インディゴ)生地を扱っている会社は存在していましたが、
すでに自社製品として展開されているものであり、そのまま採用することには違和感がありました。

単に素材を仕入れるのではなく、共に考えながら進めていく関係性が、これまで生まれた関係性において重要だったから、というのも多分にあったと思います。

結果、その生地を使う選択は取りませんでした。

同時期には、x-poreやウールリネン、非インディゴのウールデニムの検証や長期試験着用も進めていたこともあり、インディゴ染めのウールデニムについては一度保留していました。

そんな中で、再度それが動き始めたきっかけは、Tシャツ用の天竺開発を通して出会った織物屋の方との関係でした。

この方とは、ウール100の天竺によるTシャツの開発を何度も試みましたが、白度と耐久性の両立が難しく、現在までその製品化には至っていません。

一方で、白以外の色であれば成立の可能性がある状態にはあり、素材としての手応えは残っていました。
その過程で、その関係性はichi sleevelessという別の形へと展開していきます。

そうした流れの中で、tarchiチームの一人がこの織物屋の方の紹介を通じて、過去にウールデニム(インディゴ)を扱っていた生産背景の存在を知ることになります。

現在は継続していないものの、条件が合えば再び製作することは可能だという話でした。

ただし、その場合は相応のコストがかかるという前提もありました。

一度は見送ったインディゴのウールデニムが、別の経路から再び現実的な選択肢として浮かび上がってきたことになります。

こうして、ウールデニムは構造としての理解から始まり、一度保留され、別の開発の流れを経て、インディゴという形で再び検討される段階へと至りました。

この生地は、もともと継続して生産されていたものではなく、過去に一度行われていた工程と設備を前提としたものでした。

そのため、単純に依頼すれば作れるというものではなく、織機の設定や工程の再構築を含め、一定の手間とコストがかかることが前提となります。

それでも、条件を共有し、検討を重ねる中で、現実的に成立する範囲を探りながら、限定的にではありますが、生産を再開していただくことになりました。

結果として、このウールデニム(インディゴ)は、既存のラインの延長ではなく、一度止まっていた工程を再び動かすことで成立した素材になります。


(画像は織られ、出来上がってきたインディゴウールデニム。裏地を表に畳まれている生地と、試作品のために裁断された生地片。)

その後、試作生地に対して色落ちの検証を行いました。

一般的な評価基準においては、インディゴ染料は摩擦や洗いによって色落ちが起こりやすいとされています。

実際に第三者機関による試験結果でも、色移りや色落ちのリスクがあるという評価が出ていました。

しかし、実際に試作品を用いて着用および検証を重ねていく中で、その想定とは異なる挙動が確認されました。

通常のコットンインディゴデニムと比較しても、色落ちや色移りが非常に起きにくい状態にあったためです。

この結果は、意図して設計したものではなく、ウールという素材の特性、インディゴ染色、そして綾織構造の組み合わせによって生じたものと考えられます。


結果として、従来のデニムのような大きな色落ちを前提とせず、安定した状態で使い続けることのできるウールデニム(インディゴ)生地が立ち上がってきました。