12. ウールデニム(インディゴ)の構造再設計とセットアップ成立の記録
このウールデニム(インディゴ)の特性を踏まえ、デニムという構造そのものを再構築することにしました。
本来、デニムの語源である「サージ・ド・ニーム」はウールを基とした綾織であり、
現在主流となっているコットンデニムとは異なる背景を持っています。
その構造を、現代の精度でウールとして成立させられるのであれば、再構成する価値があると考えました。
実際に生地を扱う中で明確だったのは、コットンデニムとは異なる挙動を持っているという点です。
斜め方向への伸縮性があり、12.5ozという表記に対して、体感としては軽く、柔らかい。
さらに、洗いによって一度収縮するものの、乾燥によって元の状態へ戻る復元性を持っていました。
この挙動は、従来のデニムの前提とは異なるものであり、あらかじめ用意していた初期のパターンでは成立させることは難しいと判断しました。
そのため、素材の動きに合わせてパターンを見直し、二度の修正を経て再構築することになります。
結果として、コットンデニムにおける形骸的な構造は削ぎ落とされていきました。
チェーンステッチやフロントギャザーといった、コットンデニムにおける前提のディテールは、この素材においては必要ではなかったためです。
その代わりに、綾織としての耐久性を持ちながら、ウール特有の柔軟性と可動域を活かした構造へと整理されました。
最終的には三度の試作を経て、素材とパターンのバランスが整い、デニムとしての見た目を保ちながらも、従来とは異なる性質を持つセットアップとして仕上がりました。
この生地は、外衣としても、レイヤリング次第では中間着としても機能し、状況に応じて役割を変えることができます。
同時期にichi sleevelessも成立し、基盤となるアイテムが揃ったことで、TARCHIの構成は一つの形としてまとまってきました。